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長文2010.06.24
すみませんが、今回長文です。 数年前、眼鏡学校を卒業してそのままチェーン店で現場修行をしていた頃の私にとって眼鏡はあくまでも視力補正用具であり、身に付けたいと思えるものではありませんでした。 もちろん、仕事としての眼鏡には自分の持てる最大の努力をつぎ込みましたし、素晴らしい先輩たちに恵まれ検査、加工、フィッティングそして接客をほんと丁寧に学ばせていただきました。感謝という言葉しか出てきません。 しかし、技術は学ぶことができても私には決定的に足りないものがあることに3年前のIOFT(毎年秋東京ビッグサイトで行われる眼鏡の大展示会)で気付かされました。それは眼鏡が好き、身に付けたいという気持ち! その頃、天下堂の改装の話が動き始めていて眼鏡が好きになってしまった私はなんとしてでも自分の好きな眼鏡をこのタイミングで扱いたいと熱望するようになります。 私が当時配属された店はチェーン店の中ではハウスブランドの数が多い方でしたが、国内外に存在する華やかなアイウェア達とはほぼ無縁でしたし、商品を専門に扱う部署から配布させるモノを売っていたのが現状で、ブランド背景や作りの善し悪しはよくわからず加工をする立場から、国内ブランドは作りが良いとか海外のものは良くないとかそんなことを思っていました。 そんな中、友人に名古屋大須に面白い眼鏡屋があるから一緒に行かないか?と誘われ訪れたのが「3×3=∞」さん。ここで1年くらいお世話になるのですが、アイウェアブランドのこと、眼鏡の聖地福井県鯖江市のことなど様々な事を学ばせてもらえました。 さて、話はブランドに戻って。まず最初にお取り扱いをOKしてくれたのが「KAMURO」 なので、数年前の天下堂のような何のブランドも無い状態では最初の一歩が肝心で下手したら一歩すら踏み出せないこともあり得ます。 続いて「J.F.REY BOZ」が加わり、「orgreen」「影郎デザインワークス」「歩(AYUMI)」とのお取引ができるようになり昨年の3月私は天下堂に戻ってきました。これらのブランドは全て横井氏のご厚意のおかげです。本当に感謝いたします。 「ブランドの食いつまみだけはするなよ」いつもそう言われました。アイウェアのブランドは商圏を大事にする風習があり、大都市なら人口に対して取り扱い店舗の数を決めたり、地方都市なら1店舗のみとか縛りがあります。これにより、ブランドイメージを下げる無益な価格の勝負を無くし、取り扱いのある小売店を守ってくれます。 つまり、一つの店でAというブランドの取り扱いがあるということは近隣の他の店でAは取り扱いができないことになり販売が滞るとブランド側は利益が出ず、小売は他の店のチャンスを潰すだけの悪循環になりかねないのです。 「ANNE ET VALENTIN」「Distraction」「FLEYE by AKITTO」「grotesque」「RIDOL」「spec espace」がその後お取り扱いできるようになりました。全てのブランドに言えることがそれぞれにこだわりがあり、本当に良いモノを世に送り出すという心意気だとおもいます。 これだけのブランドを取り扱えるということは数年まえの天下堂では想像もできないことでした。食いつまみはぜず、これからも製造、販売、ユーザーすべてがワクワクできる楽しめるそんな空間を作り続けたいと思います。
むしろコンタクトレンズを愛用していたくらいです。眼鏡屋で働いているのだからスタッフが眼鏡を掛けていないのも考えものだと思い、とあるハウスブランドの眼鏡を購入して仕事の時のみ使用していました。
不思議とお客さん達から私の掛けている眼鏡を褒めていただけるようになり、接客において有効なツール。その程度の感覚で眼鏡をかけていました。
この会場で影郎氏に出会いその後の眼鏡人生が大きく変わっていくのですが、そのことは以前ブログで書いたので省略します。
しかし、ここでも足りないものに気付かされます。それは、ブランド知識と眼鏡フレーム自体の作りの良し悪しでした。
特にチェーン店での接客がまったく通じず、苦悩したことが忘れられません。眼鏡好きな人達が訪れ、眼鏡を身につけることに喜びを感じるきっかけをくれる空間。その違いは多きかったです。
眼鏡の業界ではその店に「どんなブランドがあるか」が重要になることがよくあります。特にヨーロッパブランドは名前の影響力が非常に強く、「○○さんの取り扱いがあるなら、ぜひウチも宜しくお願いします」とか、何もない場合そのまま断られるとこもしばしば・・この辛さは痛いほど味わいました。
KAMUROさんのご厚意と3×3=∞オーナー横井氏の人脈の厚さに感謝しきれません。
逆に小売店は責任を持ってブランドを販売し、エンドユーザーにその良さを伝えていく役目を担うのですが、これによりどれだけ欲しくても小売店が手に入れられない状態にもなりえます。