天下堂

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セルロイド2010.11.18

歩(AYUMI)作品展に合わせまして今一度セルロイドとアセテートの素材について書かせていただきます。
内容が、セルロイドびいきなのは御容赦下さい。

一般的に眼鏡のプラスチックフレームのことを「セルフレーム」と呼びますが、現状では世の中に出回っているプラスチックフレームのほとんどはアセテート製で(世界シェア98%以上)わずか1%程度しかセルロイドの眼鏡が作られていません。しかも生産しているのは日本だけとか。

セルロイドの特長
長所:透明性に優れ、光沢が良い。衝撃に強く、寸法安定性も良い。比較的硬い素材なので、眼鏡枠にした場
    合、細リムへの対応が可能。
短所:発火点が170度と低く、強燃性。一部地域では、危険物扱いとなり、輸出ができない地域もある。

アセテートの特長
長所:熱安定性や耐光性(紫外線による変色に強い)に優れる。発火点が470度と高く、難燃性。
短所:セルロイドに比べ、耐衝撃性や腰の強さではやや劣る。吸湿性を持つため、製品になった後での枠変形
    につながり易い。

視力補正用具として眼鏡が本来の目的を果す上で、セルロイドの長所である耐衝撃性や寸法安定性は素晴らしい。しかし、170度という低い発火温度は眼鏡工場の火災事故などにつながりやすく危険も伴う素材。しかも、海外と輸出、輸入を行うことが当たり前になった眼鏡業界で世界進出し辛い素材。
生産と販売の利益を追求すればセルロイドとアセテートの世界シェア比率にも納得できるかと思います。

そんな世界情勢に流されること無く、頑固にセルロイドにこだわり魂を込めるように手作業で眼鏡を仕上げている職人さんたちが日本にはいます。
独特の肌馴染みの良さはセルロイドならではのもの、そんな眼鏡がまだ買えるというのは日本に住んでいるからこそできる贅沢の一つではないかと思います。